32労働者の健康障害防止措置 (1) 剥離剤等に含まれる有害な化学物質による健康障害を防止するための標準的な手順 剥離剤等を使用する場合は、剥離剤等に含まれる有害な化学物質による健康障害を防止するため、以下の手順で行ってください。 ①SDS の入手・確認、労働者に対する教育 ○剥離剤を使用する場合は、容器のラベルを確認し、危険有害性の危険有害性の情報を確認すること。さらに、添付されているSDS(安全データシート。化学物質の危険有害性、取扱い上の注意などが記載された文書。)に記載されている事項(特に危険有害性情報、取扱い及び保管上の注意、ばく露防止及び保護措置)を確認すること。 ○SDSが添付されていない場合は、販売店舗又はメーカーから取り寄せること。 ○SDSを入手できない製品の使用は避けること。 ○作業前に、作業を行う労働者に対して、SDS等の情報より、塗膜や剥離剤等の化学物質の危険有害性、化学物質により生ずる健康障害、化学物質の取り扱い上の注意、個人用保護具の着用方法等について、教育を行うこと。 ②ばく露防止のための措置 ○特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)などの法令(以下「特化則等」という。)の規制対象となっている物質が含まれている場合は、法令に規定されている措置を確実に講じること。 ○特化則等の規制対象となっている物質が含まれていない場合でも、SDSに記載されているばく露防止及び保護措置を参考に、剥離剤の取扱い作業についてのリスクアセスメントを実施し、リスクアセスメントの結果の労働者への周知、リスク低減措置を実施すること。なお、製品によっては、法令の規制対象でないことをもって安全という記載がなされているものもあるが、法令の規制対象でないことは、危険有害性がないことを意味するものではないことに特に注意すること。また、SDSを入手できない製品をやむを得ず使用する場合は、その製品には危険有害性のある物質が含まれているものとみなして、適切な呼吸用保護具、保護手袋、保護衣等の保護具を確実に使用する等、十分なばく露防止措置を講じること。 ○ 剥離剤に含まれる化学物質の有害性に応じ、例えば送気マスクや防じん機能付き防毒マスク等の適切な呼吸用保護具、保護手袋、 ○剥離剤等を使用して塗膜を剥離した後、乾式で最終の剥離を行う場合は、併せて後述の3を参照すること。 ○作業場所をビニルシート等で隔離し、通風が不十分となる場合は、後述の③を考慮すること。 ○剥離剤の浸透しない保護衣は通気性が悪いため、保護衣の内側の温度が上昇するため、熱中症に注意し、作業時間を短くする等の措置を行うこと。 ○洗顔、洗身又はうがいの設備、更衣のための設備を設けること。 ○剥離剤の取扱い作業を行う場所には、その旨掲示するとともに、作業者以外は立ち入らせないこと。 ○作業者に対し、剥離剤に含まれる化学物質の危険有害性、作業を行うに当たって注意すべき事項について、作業開始前に周知すること。 ○作業中、作業者に体調不良等が生じた場合にすぐに必要な対応が行えるよう、常時作業者の状況を把握できるような体制を確保すること。体調不良の作業者は、直ちに作業場外の汚染していない空気が確保できる場所に移動し、濡れた保護衣は脱がせること。 ○ 洗身や作業衣等の洗浄等を徹底し、作業場より剥離済みの塗膜や粉じんを外部に持ち出さないよう留意すること。 ○作業場の剥離済みの塗膜や粉じんは、発生したその日のうちに回収し、作業場外に運搬し、所定の容器に保管する等して、その日の ○剥離剤の吹き付け作業では剥離剤のミスト(霧)や蒸気が高濃度となるため、剥離剤を吹き付けた後の塗膜のかき落とし作業を吹き付け作業と近接した場所で同時に行うことは避けること。やむを得ず塗装を行う場合は吹付作業と同様の作業者保護を行うこと。 ○呼吸用保護具の面体については、作業場より離れる都度、付着した剥離済みの塗膜や粉じんを十分に拭い、作業場とは離れた汚染 ○作業をしていない時間やその日の作業終了後は、作業場近くに保管等している保護具等が汚染されないよう留意しつつ、作業場を ③密閉空間で剥離等作業を行う場合の措置塗膜の剥離等作業を、近隣環境への配慮のために隔離措置された作業場や屋内等の狭隘で閉鎖された作業場(以下「隔離区域等内作業場」という。)で作業を行う場合は、当該区域内の剥離剤の蒸気等や塗膜の粉じんの濃度は極めて高濃度になるため、②の措置に加え、次の措置を行ってください。 ○隔離区域等内作業場の内部の剥離剤のガス、蒸気等の濃度が高くなることが想定されるため、排気装置を設けること。この際、適切な除害装置を有する排気装置の排気口は外部に設けること。また、排気装置は作業場の空間に応じて十分な排気量(排気量は、使用する剥離剤の量及び作業場の気温(夏季は有機溶剤の揮発量が増えることに留意)に応じ、1時間に5回以上作業場の空気を入れ替える換気を行う程度が望ましい)を有するものとすること。また、作業区画内は空気を循環させて滞留する場所を作らないことに留意すること。保護衣等の保護具を確実に使用する等、十分なばく露防止措置を講じること。作業後に作業場に放置されることがないようにすること。されていない場所に保管すること。吸収缶やフィルタ等は作業場から離れる度に交換すること。開放し自然換気するなど、剥離剤の揮発物を低減する措置を講じること。
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