71.情報整理(1)製品としてPCBを含有する塗料について①PCBを含有する塗料及び製造時期PCBを可塑剤として使用した塗料(以下「PCB含有塗料」という。)は全て塩化ゴム系塗料であり、具体のメーカー名及び商品名は以下のとおりである(※)。PCB含有塗料の製造期間は、昭和41年(1966年)から、通商産業省(当時)から製造中止の通達が出された昭和47年(1972年)1月までとされていることから、以下の塗料のうち、これらの期間に製造されたものに限りPCBを含有しているものとする。なお、これらPCB含有塗料のPCB含有率は、1%(10,000mg/kg)から10%(100,000mg/kg)程度とされている。(PCB含有塗料)関西ペイント(株):ラバマリンプライマ、ラバマリン中塗、ラバマリン上塗中国塗料(株):「ラバックス」シリーズ日本ペイント(株):ハイラバーE東亜ペイント(株)(現(株)トウペ):SRハイコート、SRマリンA※昭和41年(1966年)から昭和47年(1972年)1月までに製造されたものに限る。PCBを添加して製造していたのはあくまで上記期間のみであり、それ以外の時期に製造された塗料には添加されていないことに十分留意されたい。商品名については、同様のシリーズの塩化ゴム系塗料が類似の名称で現在に至るまで継続して販売されていることがあるが、同様のシリーズであっても、PCBを添加して製造していたのはあくまで上記期間のみであり、それ以外の時期に製造された塗料にPCBは添加されていないことに十分留意されたい。②塩化ゴム系塗料の使用が規定された仕様書等塩化ゴム系塗料を標準仕様として規定していたことが確認されている仕様書等は以下のとおりである。鋼道路橋塗装便覧においては、塩化ゴム系塗料は海岸地域のような比較的腐食性の大きい環境に適用されるべきものとして、鋼道路橋の標準塗装系の一つとされている。水門鉄管技術基準においては、主に水圧鉄管及び水門扉に関する技術基準が規定されているところ、水圧鉄管の塗装については塩化ゴム系塗料の使用に係る記載はないが、水門扉については海岸地域、工業都市及び田園・山間において塩化ゴム系塗料による塗装が望ましいとされており、特に海岸地域についてはより推奨されている。(塩化ゴム系塗料の使用が規定された仕様書等)鋼道路橋塗装便覧(昭和46年(社)日本道路協会)水門鉄管技術基準(昭和48年(社)水門鉄管協会)(2)製品としてPCB含有塗料が使用された可能性がある施設・設備についてこれまでに得られている知見によれば、PCBを含む塗膜(以下「PCB含有塗膜」という。)の存在が確認されている施設・設備(以下「施設等」という。)は①のとおりである。また、関係団体への調査及び(1)②に示す仕様書等から、PCB含有塗料の製造当時に想定された使用用途として②の施設等について可能性がある。また、PCB含有塗料の使用等が正式に中止されたのは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令(昭和49年政令第202号)の施行日である昭和49年(1974年)6月10日であることから、昭和41年(1966年)から昭和49年(1974年)までに建設又は塗装された施設等に使用された可能性がある。さらに、こうした施設等に使用されたPCB含有塗料は、当該施設等の外面に塗装され、また、屋外に設置されるものに使用されていたとされている。①塗膜がPCB廃棄物として確認された施設等 ・鋼製橋梁/洞門/排水機場の鋼構造物②PCB含有塗料が使用された可能性がある施設等 ・鋼製タンク ・石油貯蔵タンク/ガス貯蔵タンク ・水門・鉄管の鋼構造物 ・船舶(3)PCB含有塗膜の検出事例これまで施設の管理者等が実施した調査の中で、PCB含有塗膜が検出された事例は参考1のとおりである。また、鋼製タンクについては、環境省が、高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)の規定(都道府県知事の許可又は届出)により設置された高圧ガスタンク及び消防法(昭和23年法律第186号)の規定(市長村長等の許可)により危険物施設として設置されたタンク(いずれも昭和50年以前に設置されたもの)を対象に、寒冷地においてモデル調査(令和元年6月~令和2年1月)を実施した。その結果、一部のタンクからPCBが検出されたが、タンクの種類・規模による傾向は見られなかった(調査結果は参考2のとおり)。
元のページ ../index.html#8